RTDリーグから麻雀を知る。その8「鳴かない選択」

2017年のWHITE DIVISION5回戦の南4局1本場のシーン。

5回戦のオーラス1本場。

今回は「鳴く、鳴かない」の副露判断についてと「捨て牌の強さ」についての解説です。

南2局は藤田社長のリーチのみの1300点の出アガリ。
南3局は藤田社長がピンフで1000点の出アガリ。
南4局0本場は藤田社長のメンピンツモの1300オール。

という藤田社長のアガリが続いた状態で迎えたオーラスの1本場。
オーラスの緊張感と相まって見応えのある1局になりました。

まずは配牌と点棒を見てみましょう。

配牌と点棒状況。

親の藤田社長。トップまでは16300点。2着までは700点差です。

石橋プロ。痛恨の国士無双の放縦で残りが500点。

現在2着の瀬戸熊プロ。リーチ棒が出れば跳満ツモでトップ。
親の藤田社長が迫ってきているので2着キープが現実的でしょうか。

トップ目の小林プロ。タンヤオの軽そうな形です。逃げ切ることができるか。

3巡目~6巡目の小林プロ。

まずは3巡目。
藤田社長から切られたに反応したのが、逃げ切りを図る小林プロ。
ポンの声が掛かります。

この場面。
目いっぱいに構えての切りのリャンシャンテンの受けるのかと思いましたが、小林プロはをポンして切り。
少し受けの狭い形のリャンシャンテンにします。

そして5巡目に上家の瀬戸熊プロから出てきた
これはスルーしています。鳴かずに手を進める判断ですね。

直後に小林プロがツモって来たのは

自力でイーシャンテンまでこぎ着けます。

を切って、受け入れはのイーシャンテンになります。

3巡目のをポンしてを切った場面、そしてをチーしなかった理由を後から勝又プロの解説からまとめてあります。

4巡目~海底の藤田社長。

4巡目。
生牌のドラのを持ってきて手が止まります。

手牌はピンフ三色のリャンシャンテンです。

打牌選択に索子と筒子は無さそうですね。

のツモ切りか、辺りが候補でしょう。

8秒ほど小考のの後、藤田社長が選んだのは

切り。は一旦手の内に残します。

ペンの受けを嫌って「456」の三色の可能性を残します。

そして7巡目。
なんと残しておいたが重なります。

ここではを切って三色は見切ります。
ドラの対子で打点は十分ですからね。

そして10巡目。
ついにを引き入れてテンパイが入ります。

もちろんリーチ。

はヤマに2枚ずつ。

オーラスで親からのリーチは迫力がありますね。

瀬戸熊プロと石橋プロは降り気味ですが、トップ目の小林プロはこのイーシャンテン。

を切ってアガリを目指しますが、その後に掴んできた危険牌を勝負できずに16巡目にはこの形になっています。

この局に4000オールをツモられてもトップはキープできるので、あまり無理はしないですね。

勝負は次局へ持ち越しかと思った矢先の藤田社長の海底のツモ番。
海底のツモずらしの必要性をついて小林未沙ちゃんと勝又プロが話していたのがフラグになったのか、

お見事。
なんと本当にツモりました。
6000は6100オール。一気にトップまで躍り出ます。

このままオーラス2本場はノーテン流局で藤田社長がトップを獲得しています。

解説。

さて、まずはさきほどの小林プロの切りの選択と、副露の判断について勝又プロの解説です。

「あの場面でをポンして先にを打っておくと、そのあとに手の内からが出てきたときにが(他家から見て)読み筋に入ってしまうんですよね。もしをポンしてを先に切っておけば、の受けが残っているとは思われません。盲点になるんですよ。ただここでを先切りすると、今度はを暗刻になったときの受け入れのロスがあるんですね。その僅かな(2種4枚)ロスの代わりにが出やすくなるという価値も高くなる。そしてロスが出る代わりに安全牌を持てるというメリットもある。(アガリトップのこの局面で)どちらが得になるかを考えるとやっぱりの先切りの方が得な気もしますよね。(を鳴かないことに関して)この手牌ではを最終型にできたら最高ですからね。ただイーシャンテンになればさすがに鳴くと思います」

とのこと。

つまりの形からをポンしてを切ってるように思わせることができるんですよね。

を切っている瀬戸熊プロ。2巡目に、3巡目にを切っている藤田社長から今後が切られる可能性を考えると、最終形をにしたくなります。

テンパイまで行くことが目標ではなく、あくまでアガることが目標なのでこの選択なのでしょう。

をチーしなかったことについては、鳴くと索子とのくっつきのイーシャンテンにはなるが最終形が弱くなる。さらに安全牌のを失うことになるので、それだとあまりに危険だという判断でしょう。

やはりアガリ易さと安全度のバランスですね。

そして勝又プロはドラのを重ねた藤田社長の選択についても言及しています。

「相当強いリーチですね。藤田社長はドラのをツモ切ろうかと考えてたくらいの状況だったんですよね。手牌も好形だったので、先制リーチを狙いにいくならをツモ切る選択ももちろんあったんですけど、それをグッと堪えてを重ねたことで相手に相当攻めにくくさせてることに成功しましたね。ここでもしが捨て牌に2枚並んでいるリーチなら、小林プロも目いっぱいに押してくるかもしれないですからね。ドラを重ねてこの手牌とこの捨て牌を作り上げたからこそ、小林プロは降りを選択せざるを得なかったんですよね。(を残すことで)リーチに行ける巡目は遅くなりそうですけど、この選択はうまく成功したときに見返りがすごく大きいんですよ」

と解説しています。

ドラを重ねることで打点の価値が上がるが当然ですが、捨て牌の強さという意味での価値が大きいということですよね。ドラをツモ切りしていた場合との捨て牌を比較してみましょう。

まずはこれが本来の捨て牌です。


もしを切っていたら、おそらくこのような捨て牌になっています。(僕が打った場合の想定ですが)同じ巡目にピンフのみの待ちになっていました。


4巡目のドラ切りで最低でもイーシャンテンになっていると他家には読まれますので、ある程度は他家に警戒されるでしょうね。どちらにしてもは切りにくいですが、捨て牌にドラが2枚並ぶだけで怖さは無くなります。勝又プロの言うように、小林プロから押し返しを受けていたかもしれません。

まとめ。

・鳴く、鳴かないの判断は、安全度、テンパイスピード、待ちの最終形、で決める。
・受け入れを狭くしても、最終形の待ちが強ければ価値はある。
・ドラを残すのは打点の強さと捨て牌の強さ。
・強い捨て牌にすることで相手に警戒させる。

※記事内の画像、解説はAbemaTV(麻雀)からの引用です。
引用元サイト:AbemaTV(麻雀)